【2020年10月号】No.170 コロナ禍における税務調査方針
コロナ禍における税務調査方針
◆国税庁 感染対策を徹底・広報して調査を実施へ
コロナ禍での税務調査においては、当面は納税者の状況を個々に考慮した上で実施する方針でしたが、実態として、真に必要な事案を除き、新規調査に抑制的にならざるを得ない面があったようです。ただ、7月から新たな事務年度が始まり3か月が経過するところ、国税庁は、新型コロナウイルスの感染拡大防止策を徹底した上で、10月以降にも徐々新規調査を進めていく方向で検討しているようです。感染拡大防止策をとりつつ、社会経済活動のレベルが引き上げられていくなか、税務調査も次の段階を迎えることになりそうです。
◆これまでは自粛期間
国税庁では、毎年7月に新たな事務年度が始まります。人事異動を経て新体制となり、例年であれば、全国一斉的に納税者に新規調査の連絡が来る時期でもあります。しかし、今年は、税務署からの新規調査の連絡がきていませんでした。新型コロナウイルス感染症の影響で、真に必要な事案を除き、新事務年度を迎えた以降も、当面は様子見として新規調査を先送りせざるを得なかったようです。
◆対応困難なら調査日時を調整も
ただ、新事務年度が始まり3か月が過ぎる中で、法人税、消費税、所得税、相続税等の税目を問わず、今後は、調査を進めていくことになるようです。本事務年度においては、消費税還付事案や富裕層事案など、これまでも特に力を入れてきた重点事案などに、より的確に調査を行っていくことになると思われます。実地の調査だけでなく、場合によっては、電話等による「非対面」の簡易な接触や、机上調査にも力を入れていくようです。一方、例えば広範囲の地域に及ぶ調査案件などについては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点からも、着手しにくい面もあろようです。あくまで,企業のテレワークの状況なども含め、納税者側の個々の状況を勘案しつつ、調査に着手するスタンスは変わらないようです。このため、新型コロナウイルス感染症の影響で、やむを得ず納税者の調査対応が困難である場合には、調査日時を調整し、先送りすることもあり得るとのことです。調査を行う上で特に重要と考えているのが、マスク着用等の感染拡大防止策だといいます。納税者に安心して税務調査に協力してもらえるように、感染拡大防止策の徹底、及びその周知広報にも、積極的に取り組むようです。また、調査に向かう人員についても、必要最小限に抑える方向となっています。
令和2事務年度(R2.7.1〜R3.6.30)の調査対応のポイント
- 消費税還付、富裕層事案など、重点事案について的確に調査を実施
- 企業のテレワーク状況なども含め、納税者の状況を考慮して調査を実施
- 納税者の対応が困難な場合は調査日程を調整(もともと調整は可能でしたが・・・)
- 調査の人員は必要最小限に、マスク着用等の感染拡大防止策を徹底して調査を実施
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