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AI(人工知能)を活用した税務調査が本格化【2024年12月号】No.213

浅岡会計事務所 insightreview

国税庁は、2023事務年度(2024年6月までの1年間)の法人への追徴税額が、2010年度以降で、最多の3,572億円だったことが公表されました。

ここで注目すべき点としては、中小法人の税務調査において、前年度から本格導入されたAI(人工知能)を活用した調査対象の絞り込みです。

今回の報告においては、その追徴の8割がAI調査によるものとのことです。全体の追徴税額の内訳は、法人税が2,102億円(前年度比12.5%増)、消費税が1,095億円(同19.3%減)、源泉所得税が375億円(同10.9%増)です。

中小法人に対する追徴税額グラフ

全国の税務署において2022年度から、所管する資本金1億円未満の中小法人を対象に、税務調査を実施するかどうかの判断を、Aiにより行っているとのことです。

過去の申告書や調査で得た資料などをデータベースに蓄積し、機械学習を行ったAIが申告書を分析し「申告漏れの可能性が高い納税者」を判定し、参考としています。

国税庁のまとめによると、2023年度にAIが判定した調査対象における実地調査において、法人・消費税の追徴税額は、計1,665億円で、前年度から193億円増えています。

これは、中小法人全体に占める割合も約9ポイント上昇して78.9%にもなるそうです。

◆ 所得税調査においてもAI調査が過去最多の実績

所得税においても法人税と同様に、各地の国税局の税務調査で、所得税の申告漏れを指摘して追徴課税をした額が全国で1,398億円余りに上り、これまでで最も多かったことが国税庁により公表されました。所得税においても、2022年度から本格的にAIに申告漏れの事例を学習させて税務調査を行う手法を取り入れた結果だとしています。

国税庁のまとめによると、各地の国税局が2024年6月までの1年間に所得税に関する税務調査を60万件余り行ったところ、所得の申告漏れなどは、全国で31万1,264件、9,964億円となりました。

この調査による追徴税額は、合わせて1,398億円で、前の年の同じ時期に比べて30億円増え、現在の方法で統計を取り始めた2009年以降で最も多くなっています。

1件当たりの申告漏れなどの金額は、最も多かった業種が、前回と同じ、「経営コンサルタント」で、3,871万円、次いで「ホステスやホスト」は3,654万円、「コンテンツ配信」が2,381万円と続いています。

国税庁としては、今後も学習させる資料を増やすなどして、AIによる的確な調査対象の絞り込みを推進していくとのことです。

これにより、職員の経験や勘が必要となる複雑な事案に人手を割くことができる効果も期待しており、今後もデータの蓄積を重ねてAIの改善を進め、業務を効率化して公平な課税の実現を目指しているようです。

 

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VOL.2113

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