2024年度の最低賃金引き上げ額が決定!【2024年9月号】No.210
都道府県ごとに決める2024年度の最低賃金について、地方を中心に大幅な引き上げとなっています。国の審議会が示した時給ベース引き上げ額の「目安」の50円を上回ったのは27県で、平均で55.4円の引き上げとなり、2002年度以降の現行制度下で最大となっています。各都道府県での協議の結果、上げ幅が最も大きかったのは徳島の84円で、34円の上乗せは2002年度以降では最高額となっています。さらに、岩手と愛媛が59円で続いている状況です。厚生労働省の集計によると、2024年度の最低賃金の全国加重平均は1,055円となり、2023年度から51円上がることになり、10月1日から各地で順次適用されます。
新型コロナウイルス禍の2020年度に、目安額の提示を見送っていますが、その翌年の2021年度は国の目安超えが7県あり、足元はともに拡大傾向にあります。特に目安を上回って上げているのは、最低賃金の水準が低い地方が中心となっています。これは、他県より1円でも高くして、物価高に対応し、人材獲得でも優位になるようにしたいとの思いが、強くあらわれています。したがって、しっかりした給与を払えず、人手を確保できない会社は、事業の継続が大変難しくなってきているように感じます。
全都道府県の最低賃金額
現在の最低賃金が、最も低い岩手県では、時給893円から59円引き上げて、952円にすると決めています。これは、54円上げて951円とした秋田県を抜き、最下位を脱しています。中小を中心に企業にとって大幅な最低賃金の引き上げは、人件費の増加につながるため、容易には受け入れ難い状況です。一方で「給料が低い県」というイメージも払拭したいとの思いもあり、他県と比べた順位は意識せざるを得ないようです。岩手県と同じく59円上げを決めた愛媛県では、労使含めて全会一致で結論をまとめています。これは、このままでは、他県への人材流出が加速してしまうという危機感を共有できたことにあるようです。
このような人手不足の現状は地方に限らず大都市でも深刻で、最低賃金の水準を大きく超える賃金での人材獲得競争も激しくなっています。
すでに市場の時給水準は、最低賃金を上回って推移しており、今後の人材獲得競争にどのように対処していくかが、今後の経営にも大きな影響を与えかねないような状況になってきています。
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