1. HOME
  2. お知らせ
  3. 中小企業の代位弁済が増加中【2023年9月号】No.200

NEWS

お知らせ

Insight Review

中小企業の代位弁済が増加中【2023年9月号】No.200

浅岡会計事務所 insightreview

コロナ融資による返済猶予期間も順次満了していく中で、業績回復が進まず中小企業の倒産予備軍が増えてきています。保証付き融資の返済を信用保証協会が肩代わりする「代位弁済」は、2023年4~6月に9,720件と前年同期を70%も上回る水準となりました。前年同期超えは、7四半期連続です。3年ぶりに3万件を超えた2022年度を上回るスピードで推移しています。コロナ融資で借金が膨らんだ上に、物価高や人手不足が重なり、資金繰りが厳しくなっているのが要因です。代位弁済は、倒産の先行指標とされているのでより警戒感が高まっています。

全国信用保証協会連合会によると、2022年度の全国の代位弁済数は3万148件と前年度比45%増え、3年ぶりに3万件を超えています。特に直近での増加ペースは上がり、6月の代位弁済数は、前年同月比8割超の増加となっています。コロナ禍の手厚い資金繰り支援もあって、民間と政府系金融機関の中小企業向け貸出金残高は、2022年12月末で335兆円と、コロナ禍前の2019年12月末比で45兆円も増加しています。経済再開で、飲食や観光などサービス業を中心に売上は戻ってきていますが、調達費や人件費がかさんで思うように利益を出せず、膨らんだ借金の返済に追われて資金が回らなくなるケースが目立っています。

東京商工リサーチが、4月に約4,400社を対象にした調査では、9割弱が「調達コスト増加の影響を受けている」と回答しています。そのうち「上昇分を価格転嫁できていない」との回答は、約4割もありました。
また、ゼロゼロ融資の返済の本格化も背景にあります。利子の支払いと元本の返済を一定期間免除する保証付き融資で、新型コロナウイルス禍の2020年5月に銀行など民間金融機関で受け付けを始めて以来、利用が急増していたものです。この融資において保証協会が保証する債務残高は、40兆円と、東日本大震災後の2011年度の34兆円を超える規模に膨らんでいました。このゼロゼロ融資の元本据え置き期間が終わり、返済が始まった企業は、7月に約5万社ありました。今後も、2024年春にかけて、返済が始まる企業は高水準で推移するため、返済資金を手当てできずに、保証協会の代位弁済を受ける企業がますます増える可能性が高くなっています。

 

◆資金繰りが悪化したら早期対処が肝心

現実には、代位弁済の増加は、資金繰り破綻の瀬戸際にある会社が増えている表れでもあり、倒産予備軍が多くなっていると思われます。代位弁済を受けた企業が、利益をV字回復するケースは少なく、多くは経営破綻したり、廃業に至ったりすることはあります。
しかし、そのような状況に陥ったとしても、対処方法はあります。適切な対応を適切なタイミングできちんと行うことで最悪の状況は回避することができます。経営者がひとりで抱え込んで悩まずに、早期に専門家に相談することが大事になります。

 

続きをお読みいただく場合は、下記リンクから全ての記事をご覧いただけます。

VOL.200

最新記事