2021年分の所得税還付申告手続きが見直し【2021年12月号】No.183
2021度改正で、還付となる場合の確定申告義務が見直されています。
2021年分以後は、控除しきれなかった予定納税額等があることで還付となる場合の申告義務がなくなり、翌年1月1日から5年間の期間内であれば、任意のタイミングで還付申告をすることができるようになりました。
適用時期は、2022年1月1日以後に、確定申告書の提出期限が到来する所得税からです。
これまでは、個人で源泉徴収税額や予定納税額が還付となる場合であっても、所得税額が配当控除額を超えるときには、原則、その年の翌年1月1日から3月15日までの間に確定申告書を提出する義務がありました。これについて、新型コロナウイルス対応として申告会場への来場者を分散させる観点から、控除しきれなかった外国税額控除額、源泉徴収税額又は予定納税額があるときには、確定申告書の提出期間は、その年の翌年1月1日から5年間となり、準確定申告等の一部を除き、源泉徴収済みの個人事業者等で控除しきれない予定納税額等がある場合、下記の同期間内の任意であれば手続が可能になります。
【還付申告義務者の提出期間の見直し】
改正前 | 改正後 | |
提出期限 |
翌年1月1日 |
翌年1月1日 |
青色申告特別控除の適用のためには従来通りの期限
還付申告義務はなくなりましたが、青色申告特別控除など、期限内に確定申告をすることで受けられる税務上のメリットに関する提出期限は、従来通りであり、申告期限内(翌年1月1日~3月15日)に確定申告書を提出する必要があるので注意が必要です。
なお、還付申告義務の見直しにより確定申告書を提出する必要がなくなった場合でも、財産債務調書の提出義務者については、同書を提出しなければならないようです。
領収書の電子保存、義務化2年猶予
2022年1月に施行する電子帳簿保存法に2年の猶予期間が設けられることになりそうです。電子データで受け取った請求書や領収書を電子保存するよう企業に義務づけられた制度ですが、実務的に準備期間も少なく、私達も対応に苦慮していたところなので、当然の結果かもしれません。今のところ、多くの企業が、紙で経費処理しているのが実状であり、急にすべての処理についてデジタル対応を求められても、厳しいものがあったと思われれます。
近くまとめられる2022年度与党税制改正大綱に盛り込み、年内に関連の省令を改正する見込みです。
電子帳簿保存法の改正は、2021年度税制改正大綱に盛り込まれた後、準備期間が1年しかないにもかかわらず、国税庁が、違反時は青色申告を取り消す可能性に言及したことで、実務家からは不安の声が広がっていました。
本来なら、来月からスタートする予定だった現在においても、多くの企業の経理担当者の間で、法改正について、「知らない」あるいは「詳細までは知らない」と答えており、このまま進めるのは実務的に混乱する恐れがあったので、賢明な判断かと思います。
続きをお読みいただく場合は、下記リンクから全ての記事をご覧いただけます。