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電子取引 紙データ送信時の保存義務?【2021年10月号】No.181

浅岡会計事務所 insightreview

令和4年1月より、電子取引の取引情報のデータ保存が義務化されたことはご存知かと思います。
それに関連して、紙データを電子データとして送信した場合における保存義務について注意が必要です。

確定申告書などへの押印義務は原則廃止されましたが、民間企業では、取引先に交付する請求書や契約書などへの社判等の押印を実務慣行として行っていることがあります。この場合において、電子データの受領側だけでなく、交付側にもその保存義務が課されるそうです。たとえ押印した請求書等の紙を自社の控え用として保存していても、それをPDF等データに変換して、取引先に送信している場合には、そのPDF等データを保存する必要があるのです。

押印のため印刷を経て送信したデータは保存の対象

エクセルやワードなどの表計算、文書作成ソフトで作成した請求書等をプリントアウトし、押印したうえでPDF等にデータ化して、メールで取引先に送信することがあるかと思います。
その場合、『PDF等データと同一内容の請求書等を紙で保存していても、取引先に送信するPDF等データも電子取引の取引情報として保存する必要があるのか』といったことを疑問視する向きもありましたが、メール等で請求書等の「取引情報」をPDF等データで送信している以上は、電子帳簿保存法上の「電子取引」に該当し、保存要件(「検索機能の確保」等)を充足する形でPDF等のデータの保存が必要になるそうです。

紙や作成元データのワード等に保存義務はなし

それから、社内ルールとして、押印した請求書等の紙や、請求書等のプリントアウト前のワード等の元データを保存していることが考えられますが、この点、元データはあくまで、相手方に交付する「押印した請求書等をPDF等でデータ化したもの」という完成形の作成過程のデータに過ぎないため、国税関係書類としての保存義務の対象にならないようです。
そして、押印した紙の請求書等についても、最終的に相手方に交付した請求書等データの作成過程のものであるため、請求書等データは電子取引の取引情報として保存義務がかかる一方で、その紙には保存義務は生じないとのことです。

紙とデータの両方を交付した場合

しかし、請求書等データだけでなく、同一内容の請求書等を紙でも取引先に交付している場合には、紙と電子データのどちらを原本としているかによって、対応が異なるようです。
取引先に送信した請求書等データが原本であれば、電子取引の取引情報として、その請求書等データの保存が必要となってきます。一方、請求書等データが、紙で交付した請求書等の内容確認程度の意味合いに過ぎない副本である場合には、その請求書等データは、電子取引の取引情報としての保存は不要となるのですが、原本である紙の請求書等の写しの保存が必要となるようです。

 

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VOL.181

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