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銀行借入金の個人保証の実態【2021年9月号】No.180 

浅岡会計事務所 insightreview

従来、中小企業が銀行から借入する場合はに、原則的に個人保証が求められることがほとんどだったと思います。しかし、経営者保証に関するガイドラインが公表されて7年以上経過した今、個人保証の実態はどのようになっているのか金融庁のホームページに公開されている「新規融資に占める経営者保証に依存しない割合(2020年10月時点)」をもとにみていきましょう。

経営者保証に関するガイドラインとは

経営者保証に関するガイドラインは、経営者の個人保証について、下記のような事項を定めることにより、経営者保証の弊害を解消し、経営者による思い切った事業展開や、早期事業再生等を応援していくものです。第三者保証人についても、下記(2)、(3)については経営者本人と同様の取扱となっています。

  1. 法人と個人が明確に分離されている場合などに、経営者の個人保証を求めないこと
  2. 多額の個人保証を行っていても、早期に事業再生や廃業を決断した際に一定の生活費等(従来の自由財産99万円に加え、年齢等に応じて100万円~360万円)を残すことや、「華美でない」自宅に住み続けられることなどを検討すること
  3. 保証債務の履行時に返済しきれない債務残額は、原則として免除することなど

個人保証に依存しない融資の割合

公表された資料によると、メガバンクでは、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行は、新規融資額の4割以上に対して、経営者個人の保証を取らないで融資していている実態がみえてきます。メガバンクの中ではりそな銀行がやや見劣りしていますが、名古屋圏にある主な地方銀行での実績をみると、さらに低くなっているのが実態のようです。
したがって、残りの6~8割は、経営者保証に依存し、融資先が破産すれば経営者個人の財産を投入し、賄えなければ、経営者個人も破産することになっています。
金融機関名 経営者保障に依存しない割合
三菱UFJ銀行 45.44%
みずほ銀行 43.80%
三井住友銀行 43.00%
りそな銀行 29.96%
愛知銀行 27.20%
名古屋銀行 26.90%
十六銀行 23.58%
中京銀行 17.74%
大垣共立銀行 16.72%

東京商工リサーチが公開したデータによると、2020年度に破産した5,552社のうち3,789人の社長が破産開始決定を受け、社長破産率は68.2%の高率に達したとのことです。

政府は、上記ガイドラインを策定後、社長個人の資産を担保に依存した融資の姿勢を改めるよう金融機関への指導を強化してきています。しかし、実際には、銀行も与信リスクの高い中小企業には、従来の個人保証を求めてくるし、借り手側の中小企業も必要な融資額を手にするために、個人保証もやむを得ないと考える風潮もあります。コロナの収束後に様々な金融支援が打ち切られた場合に、社長個人の破産問題が社会問題化することになるかもしれません。

 

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