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相続税にもAI税務調査が導入へ【2025年5月号】No.216

浅岡会計事務所 insightreview

国税庁は2025年7月より、全国の相続税の税務調査において、AIを活用して選定した事案への「AI税務調査」を始めるようです。AIにより、申告漏れ等の税務リスクが高く調査の必要性がある事案を効率的に選定し、これまで以上に深度ある調査を行うことになりそうです。対象となるのは、全国の税務署に提出された全ての相続税申告書となり、AI判定により、税務リスクを判定。そのスコアに応じて、税務調査の要否等が判断されます。

◆ 調査対象期間は2023年以降の相続がAI選定の対象

様々な分野でAIが活躍し始めていますが、税務調査の必要性が高い事案の判定にもAIが活用されます。2025年7月から全国税局等において、AIにより選定された相続税の事案に対する税務調査が開始されます。2023年以降に生じた相続に係る相続税申告書が、AIによる調査事案の選定の対象になるとのことです。

2023年分の相続税の申告書の提出に係る被相続人数は、15万5,740人で、課税割合(被相続人のうち相続税申告書の提出割合)は9.9%に上り、相続税の申告件数等の増加に伴い、調査必要度の高い事案も増えているようです。

こうした背景をふまえて、AIの活用により調査対象の選定事務が効率化され、調査可能となる事案の増加を期待しているようです。これにより、的確な税務調査が推進されるのは良いことだと思います。毎年課税の機会がある法人税や所得税とは異なり、相続税の課税のタイミングは基本的に相続時の1度きりのため、税務調査が必要な事案を取りこぼさないよう、AIの導入で調査体制を強化する狙いです。

◆ 0から1の間で税務リスクをスコア付け

税務リスクをスコア付け

具体的な相続税の税務調査におけるAIの活用方法は次のとおりです。

まず国税庁は、全国の税務署から納税者等より提出があった全ての相続税申告書のデータを集めます。各相続税申告書データの1つずつに、申告漏れ等の税務リスクが想定されるレベルとしてスコア付けをし、そのスコアは、0から1の間で0.01以下等の単位で細かく付けられます。

国税庁は、スコア付けした各相続税申告書データを各所管の国税局等に戻し、現場の各国税局等は、そのスコア等に基づき、各事案について、税務調査の要否、そして税務調査を行う場合でも実地調査又は電話等による“簡易な接触”を行うかなどの対応を判断することになります。

なお、スコアが0であるなど、税務リスクが極めて低いとAIにより判定された相続税申告書データについては、国税庁において税務調査の必要性がないものと判断するようです。

◆ 過去の調査事績から申告漏れ等の可能性を判定

AIがどのように相続税の申告漏れ等の税務リスクを判定し、スコア付けしているかという点については、過去の調査事績を踏まえ、これまでに申告漏れ等が生じた相続税申告書や財産債務調書等の法定調書などの情報から申告誤りの傾向を分析するようです。

その分析結果に基づき、全国から集めた各相続税申告書デー夕において、申告漏れ等が生じている可能性をスコアとして表示するのです。

しばらくはAIの判断にもズレがありそうですが、データが蓄積される度にその精度は高くなると思うので、申告前にAIチェックができたら便利ではありますが、利用はできないでしょうね。

 

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