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給与の「デジタル払い」2023年4月解禁へ【2022年11月号】No.192

浅岡会計事務所 insightreview

厚生労働省の労働政策審議会(厚労相の諮問機関)は、給与をスマートフォンの決済アプリなどで受け取れる「デジタル払い」を解禁する方針を決めました。労働者側の同意がある場合などに限られますが、企業側はデジタルマネーで給与の支払いができるようになります。入金先のアプリ口座の残高上限は100万円とし、参入する資金移動業者に破綻や不正引き出しなどの際に保護する仕組みの構築を求めていきます。2023年4月以降、厚労省が審査の上で参入業者を指定し、手続きが終わり次第、運用が始まる見込みです。

労働基準法では、現金での給与支払いを原則としていますが、例外的に、個人の同意があれば銀行口座などへの振り込みを認めており、この対象に決済アプリの口座(「PayPay」「楽天ペイ」といったスマートフォン決済アプリ口座)も加えるというものです。労働者にとっては給与入金先の選択肢が増え、外国人労働者らによる海外送金の際の手数料が、銀行経由より安くなることも期待されています。また、アプリ業者が設定する手数料によっては、銀行口座への給与振込より、企業側の手数料負担が減る可能性もあります。参入業者の指定には、(1)破綻時や不正引き出しなどで生じた損失について全額補償する仕組みを設けること、(2)厚労省に財務状況を報告できる体制を構築することなどを条件とします。

 

一方、企業が給与のデジタル払いを実施する場合は、対象となる労働者の範囲や業者について、労働組合などと協定を結ぶ必要があります。その上で労働者個人が同意した場合に限り、給与の一部または全額を決済アプリの口座に振り込むが、残高の上限は100万円までとしています。また、企業側はアプリ業者を給与支払先として設定する場合も、銀行口座や証券総合口座への選択肢も、合わせて提示する必要があります。なお、現金化できないポイントや暗号資産(仮想通貨)での支払いは認められていませんので注意してください。

給与のデジタル払いを巡っては、2020年度中の制度化が閣議決定されましたが、その後の労働政策審議会で破綻時の対応を巡り労組側から懸念が示されたことなどから、検討が続いてきましたが、今回は了承されたようです。現状でも、銀行口座からアプリ口座に自動的にチャージできる仕組みはあり、デジタル払いの普及は限定的になるのではないでしょうか。破綻リスクを念頭に置いた参入時の審査が重要で、業者の指定や監督については金融庁を含めた省庁横断的な取り組みが求められることになります。対象となる資金移動業者としては、銀行以外で送金サービスを提供する事業者です。資金決済法に基づき、各地の財務局に登録することになりますが、令和4年9月末時点では、「ペイペイ」や「d払い」などの決済アプリを運営する85社が登録しています。

 

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VOL.192

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