倒産件数、13カ月連続で前年同月超え【2023年6月号】No.197
東京商工リサーチが発表した2023年4月の全国企業倒産件数は、前年同月比25%増の610件でした。前年同月を上回るのは13カ月連続で、とりわけ物価高を原因とする倒産が49件と、前年同月に比べ2.3倍に増えているのが目立っています。原材料価格の上昇を販売価格に転嫁できない中小企業が減らなければ、倒産件数の高止まりが長期化する可能性があるようです。
産業別にみると、主要10産業のうち、小売業を除く9産業で前年同月を上回っています。
最多は、サービス業他の191件(前年同月比23.2%増)で、8カ月連続で前年同月を上回っており、月次倒産に占める構成比は、31.3%(前年同月31.8%)でした。
次いで、建設業が134件(前年同月比65.4%増)で4カ月連続、製造業が77件(同26.2%増)で9カ月連続で、それぞれ前年同月を上回っています。これは、円安やウクライナ情勢による資材や原材料、光熱費の高騰などの影響を大きく受けていることが要因と考えられます。
東京商工リサーチが4月に約4400社を対象にした調査によると、「調達コスト増加の影響を受けている」と回答した企業は87%にものぼり、その内「上昇分を価格転嫁できていない」との回答が約4割に達しています。
実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」の返済が本格化するなか、回復が遅れた企業を中心に、再建を断念するケースも増えており、ゼロゼロ融資を受けた後に倒産した件数は、38%増の43件となっています。
このほか、運輸業では24件(同9.0%増)、情報通信業27件(同68.7%増)が7カ月連続で増加、不動産業が19件(同46.1%増)で6カ月連続で増加、金融・保険業が4件(同100.0%増)で3カ月連続で増加、農・林・漁・鉱業が8件(同33.3%増)で2カ月連続で増加、卸売業が66件(同20.0%増)で2カ月ぶりに増加し、それぞれ前年同月を上回っています。一方、小売業においては、60件(同20.0%減)で、5カ月ぶりに前年同月を下回っています。なお、負債総額は、2.5倍の2038億円となり、2カ月ぶりに前年同月を上回っていますが、4月に民事再生法の適用を申請したユニゾホールディングスの負債額(約1262億円)が全体を押し上げたことが要因です。
主要産業別倒産件数の推移
新型コロナウイルス禍で企業の資金繰りを支えた支援策が切れ、返済のピークも迫るなか、物価高や人手不足が重荷となって企業倒産の増加が加速する可能性があります。コロナ禍の支援依存から抜け出せない企業を中心に、夏場に向けて増勢が強まる可能性が高く注意が必要です。(参考:東京商工リサーチ資料)
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