1. HOME
  2. お知らせ
  3. マンション節税防止のため相続評価額見直し【2023年7月号】No.198

NEWS

お知らせ

Insight Review

マンション節税防止のため相続評価額見直し【2023年7月号】No.198

浅岡会計事務所 insightreview

昨年、タワーマンションを利用した相続税の税務訴訟の最高裁判決があり、国側が勝訴したことに伴い、国税庁は、マンションの相続税算定ルールを大幅に見直す方針を固めたようです。都市部のタワーマンションなどで広がっていた「マンション節税」や「タワマン節税」と呼ばれる過度な節税策に対応したものです。国税庁は2024年1月1日以降に、新たな相続税の算定ルールの適用を目指しています。

◆ ルール改正の背景

現行の算定ルールは1964年の通達に基づいています。今回の大幅な見直しの背景にあるのが、近年の過度な節税策の横行です。

相続税の一般的な算定に用いる路線価は、公示地価の8割を基準とするため、足元の取引動向を反映しにくく、実勢価格を下回りやすい傾向があります。その乖離を財産評価で使うことで、一部の資産家の中で相続税額を低く抑える手法として利用されていました。

これに対して、最高裁は2022年4月、この手法を用いた相続人に対する国税当局の追徴課税を認めたのです。相続人側は購入額が計13億円超のマンション2棟について、評価額を路線価に基づいて3億3千万円としたが、国税当局は独自に鑑定し、約12億7千万円として課税しました。最高裁は判決で、この節税を「租税負担の公平に反する」と指摘しています。

政府も2023年度の税制改正大綱で、マンションの評価方法について「相続税法の時価主義の下、市場価格との乖離の実態を踏まえ、適正化を検討する」と記載していました。こうした動きを受け、国税庁は不動産鑑定士や不動産業界らによる有識者会議を1月に立ち上げ、評価方法について議論を始めていました。

◆ 具体的な見直しの内容

マンションの相続税は、資産価値を「時価」に基づいて評価し、金額に応じて10〜55%の税率を掛け、税額を申告します。

マンションを最近購入した場合には、購入価格と時価はほぼ同程度となる可能性がありますが、一方で、取引が最近ではない場合には、実勢価格は分かりづらくなります。マンションの実勢価格は需給に応じて決まり、同じマンションでも物件によって異なることもあり、納税者自身で把握するのは、かなり難しいことにもなります。

そこで、マンションの評価額は、建物は地方自治体が算定する固定資産税評価額、土地は毎年公表される路線価から計算し、それぞれの額を合算することになっているのが現行の算定ルールです。

七夕

これに対して、新たに検討されている算定ルールは、実勢価格が分からない場合にも、理論上の「実勢価格」を計算式によって導き出せるようにするのが最大の特徴となっています。国税庁が新たに用意する計算式に、納税者が自らの登記簿で確認できる築年数や階数などを基にして、導かれた値を従来の評価額に掛けて算定するようです。

なお、この新たな評価額は、この理論上の「実勢価格」の6割とするようです。国税庁の調査で、戸建ての評価額が実勢価格の平均6割となっており、マンションと戸建てをそろえる狙いがあります。結果として、現在はマンションで実勢価格の平均4割程度にとどまっている評価額が、6割以上に引き上げられることになりそうです。

 

続きをお読みいただく場合は、下記リンクから全ての記事をご覧いただけます。

VOL.198

最新記事